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ーーちょっと待って。それっていったいどういうこと?
今、この体はわたしの体じゃなくて『アリスの体』でしょ?
この体から抜け出られないってことは、これからわたしはアリスとして生きて行かなきゃならないってこと?
そんなこと、できるわけないじゃん。
だってアリスだよ? アリスって、つまりわたしの大好きな女の子だよ?
大学入ってすぐ告白して、オッケーもらって喜んで、キスだってしたし、色んなやらしいこといっぱい二人で経験した相手の子だよ?
そんな女の子に、わたし自身がならなきゃいけないの?
いやいや、無理無理。ぜってー無理。ありえねー。
……あ、でもそうか……。
ふと、わたしはあることに思い当たった。
わたし、このままあとちょっとしたら、地面に頭打って完全に記憶喪失になっちゃうんだった。
つまり、わたしがわたしであること自体忘れちゃうってこと。
じゃあ、まさか、あの事故以来、わたしがアリスだと思って接してきたとっても可愛い女の子ってひょっとしたら……
……うん。そっか。そりゃ、こんなこと思い出しちゃったら自殺もするわ。
あー……納得。
納得ついでに、わたしは最後に本当に死にたくなるような最悪の疑問を抱いた。
「じゃあ、本当のアリスはどこに行っちゃったの?」
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