第1章

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「そんなに緊張しなくていいのに。……あ、わたしはアリス。入谷アリスっていうの。よろしくね」  とか言いながら、アリスちゃんが白くてほっそりとした右手を差し出してくる。知ってるよ! 「う、うん……よ、よよ、よろし、く……!」  指先を震わせながらおずおずとその右手を握り返すと、 「うふふ! こんな近所に同年代の友達ができるなんてうれしい!」  元気よく言いながら、アリスちゃんは率先して歩き出した。彼女が案内される側だというのに、である。手をつないだままなので、当然、わたしも引きずられるように歩き始めた。  あぁ、神様……わたしの人生に、こんなにうれしい出来事があってよいのでしょうか?  なんて浮かれていたわたしだったが、学校へ着いてすぐに地の底まで気分が落ち込んだ。  中学一年の二学期。登校初日――  アリスちゃんとわたしをいじめるクラスメイトたちの戦争は、その日の朝から始まったのだった。
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