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「そんなに緊張しなくていいのに。……あ、わたしはアリス。入谷アリスっていうの。よろしくね」
とか言いながら、アリスちゃんが白くてほっそりとした右手を差し出してくる。知ってるよ!
「う、うん……よ、よよ、よろし、く……!」
指先を震わせながらおずおずとその右手を握り返すと、
「うふふ! こんな近所に同年代の友達ができるなんてうれしい!」
元気よく言いながら、アリスちゃんは率先して歩き出した。彼女が案内される側だというのに、である。手をつないだままなので、当然、わたしも引きずられるように歩き始めた。
あぁ、神様……わたしの人生に、こんなにうれしい出来事があってよいのでしょうか?
なんて浮かれていたわたしだったが、学校へ着いてすぐに地の底まで気分が落ち込んだ。
中学一年の二学期。登校初日――
アリスちゃんとわたしをいじめるクラスメイトたちの戦争は、その日の朝から始まったのだった。
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