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三
アリスちゃん――いや、アリスの転入先は偶然わたしと同じクラスだった。
彼女はとても正義感の強い子だったので、わたしがいじめられていることに気づくと、すぐさま主犯格の生徒たちを糾弾した。
当然、アリスもいじめの対象に加えられてしまう。
彼女の机がわたしと同じように荒らされたり、朝、机の上に花瓶を飾られていたりするのを目にするたび、わたしの胸は自分のこと以上に痛んだ。
しかしアリスは負けなかった。それどころか、ことあるごとに主犯格たちと舌戦を演じ、その全てに圧勝するのだった。
アリスは非常に頭がよかった。
彼女と口論して、論理で勝てるクラスメイトは一人もいなかった。
最終的に彼らがとった策は無視だった。
わたしもアリスも、大半のクラスメイトから無視されるようになった。
きっと、正面からぶつかったのでは勝ち目がないと悟ったのだろう。
結果として直接的ないじめがなくなった代わりに、わたしとアリスは二人っきりで孤立することになった。
わたしは、アリスにとても申し訳なく思っていた。
きっと彼女は、わたしに関わらなければ、もっと幸せな学校生活を送れていたはずなのだ。
このままではいけない。アリスはもっと、輝かしい人生を歩むべきだ。
彼女の人生に、わたしという影をこれ以上落としてはいけない。
――いつしかわたしは、そんな決意を胸に秘めるようになっていた。
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