同姓同名そっくりさん

そっくりさん。

「その箸、特注？」
「これですか？　職業体験で自分の箸作ろうみたいな授業があって、それで自分でデザインして作りました」
「自分で？」
「はい。これでも一番上手だって講師にも褒められたんですけど、自分じゃ良し悪しわからなくて」

　オカカは食事を中断して、片方の箸を私に見せてくれた。
　近くで見るとより高級そう。けれどほんの少し黒にムラが出来ているのもわかった。金色だったと思われる部分も、デザイン上仕方ないとも思える端の細い部分がはげている。
　そんな惜しい部分を一蹴出来るほどのセンスを感じるデザインには、どうしても見惚れてしまう。