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「そっくりさん?」
「ドッペルなんちゃら?」
アホの子みたいに首を傾げると、同じタイミングで向こうも同じことをした。
お互い髪が視界の邪魔をするだけで、そっくりな顔のパーツは変わらない。
「……えっと、隣に越してきた西岡楓です。腕とかヒョロいけど、これでも男です。うるさかったらすぐどうぞ」
「どうも、――って、え? あなたも西岡楓って言うんですか?」
「……? おわっ、表札一緒だ!」
目の前で取り乱す彼は、私と同姓同名らしい。
混乱と動揺がめぐりめぐって、これは新手のギャグなのでは、とまで考えてしまう始末。
ひとまずお互い冷静になろうと言い合い、まずタオルを受け取る。学生証を手に、再び私のドアの前に集合。
そっと差し出し合って、受け取り合う。
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