第1章

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コンッコンッ。 「はいー?」 誰だろう? こんな夜中に。 オートロックどころか インターホンすらない古びたハイツ。 その2階にあるオレの部屋に訪ねてくるなんて 新聞の営業か NHKの料金回収くらいなんだけど。 「あ…すいません、かがみさん のおたくですか?」 ん? ドアの向こうから聞こえる声は 話し方はしっかりしているが 妙に幼い印象を受けた。 「そうですけど…、どちらさま?」 「あの、となりに こしてきた、みやま ともうします。」 幼い でもしっかりした敬語で 彼女は言った。 …あぁ。 そういえば昨日 引っ越し業者が来てたな。 若くてキレイな女だった気がする。 こんな口の達者そうな 子供がいたのか? 「……」 オレが訝しんでるのを感じたのか 彼女は さらにこう付け加えた。 「あ、あの。まま…の わるいおともだちが、わたしのことじゃまみたいで、おうち、おいだされちゃって…。 わ、わたし さむくて、あの…」 暖かくなってきたとは言え まだ3月。 夜中の外の気温は 幼女が耐えられるほどのものでもないだろう。 「おともだちってのは…男?」 「はい…。」 昨日見かけた 若くてキレイな女は どうやら とんでもない女らしい。 子供を外に 放り出して 自分は男と 行為に勤しんででもいるのだろう。 「…ちょっと、まって。」 幼女のことが 急に不憫に思えた。 うちにはエアコンもなければ ストーブもないが 風がない分 外よりはマシなはずだ。 チェーンを外して カギを開けた。 「あ…」 今にも泣き出しそうな 5歳くらいの少女が そこには立っていた。 「須藤…?」 なぜか口が勝手に そんなワードを出していた。
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