第1章

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「え…?」 彼女が まん丸な目を さらに大きく開けて言った。 どうやらオレは 「みやま」と名乗った彼女に オレの初恋の人 「須藤」の面影を 感じてしまったらしい。 何やってんだ… こんな小さいコ相手に。 「あ、いや…ごめん、何でもないよ。 とりあえず家、あがる?」 彼女は少しだけ俯く素振りを見せてから 哀しい瞳で こう言った。 「ごめんね、かがみくん。 でも… あと、ひとりなの。」 そう言って すっと オレの手に 触れ… 「え?」 彼女に手をとられたと思った瞬間 急に 周りのモノが 巨大化した。 オレが開けていたドアも 玄関のクツも そして 彼女も。 「な…!?」 オレは辺りを 見回した。 そして どうやら 周りが巨大化したのではなく 自分が小さくなったのだ ということに気づいた。 いや 本当に巨大化したものもあった。 彼女だ。 「ごめんね、加賀見くん…。ごめん…」 泣きながら言う彼女は さっきまでの幼い少女ではなく 昨日見た 若くてキレイな女だった。 「すどう…?」 昨日は遠目だったので あまりよく見えなかったが こうして近くで見ると 確かに須藤の面影があった。 中学生の時 オレが好きだった女の子。 オレの初恋相手…。 目の前の彼女は 年の頃も オレと同じくらい。 あの時の須藤が 20才くらいに成長したら ちょうどこんな感じなのだろう。 「すどう、やっぱり すどうなんじゃないか?」 先ほどまでとは打って変わって 少年のような甲高い声で オレは彼女に問うた。 頭の混乱が 少しずつ解け オレは なぜか理解していた。 今、自分が 5歳児の姿になったのだ、ということを。
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