第1章

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「ーしまった…!」 オレは全てを 理解した。 杉村もまた 「こども菌」に 感染していたのだ。 そうか。 その可能性をもっと 考慮するべきだった。 オレのメモリーのうち 一体あとどれくらいの人間が 大人の姿を保っているのだろう? オレは杉村を諦め そのあとも何人かに連絡したが 結局その日は 誰もつかまらなかった。 次の日、その次の日と かたっぱしから連絡しまくって なんとか1人 触れることができた。 アポがとれても 杉村のようにすでに感染して5才児にされてしまったヤツや 一度5歳児にされたものの すでに3人の大人に触れて 大人の姿に戻ったっていう強者もいた。 そういうヤツは当然 警戒心MAXだから 数年ぶりに電話してきたオレを 素直に信用してくれるわけもなく 「お前…今『こども菌』に感染してるんじゃないか?」 と、言い当ててきやがる。 絶対に 会ってくれないのだ。 そうこうしているうちに 期日まで あと2日となってしまった。 オレは正直 少し 焦っていた。 …いや。 大丈夫。 今日は1人 会う約束をしている。 明日も一応 アポはとれている。 失敗した時のリスクヘッジのため 他にも何人かと連絡はとりつづけている。 しかも 今日会うのは オレに 好意を寄せている女だ。 職場で オレに言い寄ってきている サエないオバさん。 たぶん イケる。 明日会うヤツは 1年ぶりに連絡をとったので 状況はあまり分からない。 コイツも 外見からしてパッとしない女だが 昔、セックスをエサに 何度かメシをおごらされたことがあって 今回は 美味しいレストランを予約してあると大ウソついて 誘った女だ。 もちろんレストランなんて 予約していない。 とりあえず出会い頭に 触れることさえできればいい。 この2日間が 勝負だ。
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