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気が付いたら、どこかの屋根に貼り付いていた。
しかも、ほとんど45度の傾斜の洋風な屋敷の屋根だった。
いきなりの事に混乱し、しばらく思考が停止する。
ようやく再起動した頭で、思い出せる内容を検討し始めた。
まず、自分は、40後半の子持ち中年女だったよね?
けっこう中年太りだから、まず、こんな風に屋根に貼り付いていられるはずがないよね?(絶対に堕ちる自信がある)
すると、突然、頭の中に
『盗賊スキル発動中』
の情報が浮かび上がった。
何、何なの!!
ビックリして、その『盗賊スキル』に、意識を集中する。
すると、『スキル解説』なるものが浮かび上がった。
『盗賊スキルとは、レベルに応じて、
1レベル 〈忍び足〉〈気配消し〉
2レベル 〈暗視〉〈気配察知〉
3レベル 〈解錠〉〈罠解除〉
4レベル 〈軽業〉〈壁登り〉
等が使用出来る』
自分のレベルは?
と、思うと
『盗賊スキルレベル6』
と浮かんだ。
使えるスキルは?
『5レベル 〈お宝察知〉
6レベル 〈鑑定〉』
と出た。
こんな風に、頭の中に浮かんだ情報に意識を集中していたら、突然、自分は没落貴族の次男で世の中に反発して、盗賊ごっこしているみたいな情報を思い出した。
ちょっと待て、どういう事だ?
さっきまで、自分は子持ちの中年女だったはずで、これっぽっちも疑う要素がない状態だっただろう!!
なのに、今は没落貴族の次男って、これも、これっぽっちも疑う要素がない状態で存在しているのよね。
何だか、中年女と次男(年はまだ13歳)の記憶が暴れまくって、男言葉と女言葉がごちゃごちゃにからまってきた。
次男としての記憶では、これから、ある貴族屋敷に潜入して、ちょっとした物をゲットする予定であったが、今日はもう、引き返したほうがいいな。うん!!
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