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ずっと縮み上がったままの股間をいじっているのと反対の手で坂崎がオレの制服の内ポケットをあさった。
そこにはアホなオレにお似合いのアホなダチがくれたコンドーム4コ。
「いやいやいやいや、まて坂崎!」
この展開、まさか…。
ヤられる?
こんな誰に見られるかわからない歩道橋の上で?
民家のあかりは遠い。でもまだ8時だ。しゃがんでいるから車からはギリギリわからないかもしれない。
とはいえ仕事帰りの人だって通るし、のんきにウォーキングするヤツだって普通にいる。
ちょっと痛い目にあったからって、抵抗をあきらめてる場合じゃない!
オレ的には必死なつもりでも全く無意味な抵抗をしてるあいだに、坂崎がまたスマホを手にしていた。
前方へスマホを持った手を伸ばし、どれが竿でどれが玉だかわからないほど縮んだオレを撮影する。
さっきがバックから撮影したから、今度は前を撮影?
こんなときまで真面目できっちりとした坂崎らしさを発揮してくれなくてもいいのに。
せめてピントがブレろ。と、抵抗を見せる。
抵抗と言っても、やっぱりただケツを揺らすだけなんだけど。
「今日はこのくらいにしとく。教室とか、公園のトイレとかまだ色々言ってたよな。」
吐息が耳をかすめる距離でそう言うと、坂崎はあっさりと身を離した。
言われた言葉が飲み込めず、固まっているオレの左手の指を柵からそっと引きはがす。
握り込んだ手を離しただけで、縛り付けられてたはずのベルトからするんと解放された。
縛り付けられたと思い込んでいただけで、ベルトはまったく戒めにはなっていなかったらしい。
強く握りしめていたせいで上手く動かない左手でどうにか右手のネクタイをほどくと、坂崎の姿はもう消えていた。
時間にしてみればほんの10分か15分。
唐突な拘束、そして同じように突然の解放。
オレの人生最大の衝撃だった。
帰宅し、もう喰ってきたからと飯を断り風呂に入ってすぐに部屋にこもる。
食欲が無かったし、あの衝撃を忘れてさっさと眠りたかった。
でも眠れるはずもなかった。
たった10分か15分の出来事が繰り返し繰り返し頭をよぎる。
坂崎はずっと固く無表情だった。
なんであんなこと。
いや、なんか言ってたけど。
オレのこと嫌いだったのか?
いや、なんか言ってたけど。
怖かった。なんであんなこと。
いや、なんか言ってたけど。
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