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1年のとき坂崎とは隣のクラスだった。
2年になると校舎は同じだがオレは2階、坂崎は3階に分かれた。
坂崎と顔を合わせるとすれば教室移動か昇降口の下足ロッカー。あと昼休みか。
まあ、そうそう出会うことは無い…と思いきや朝イチで全校集会。
体育館へ向かって3階からおりてくる坂崎を見つけ、ダッシュで階段を逃げおりる羽目になった。
いままで見かけても『居るな』としか思わなかった真面目な顔がこんなにもオレを追いつめる。
歩道橋での十数分の衝撃。
授業も上の空だ。
まあ、それはいつものことだけど。
今日は3階への教室移動は午後に1度きり。そのときさえ気をつければもう顔を会わすことはない。
そう思いながら教室から廊下へ出たとたん10m先にあの顔があった。
ビックリしてトイレへ逃げ込んだ。
「どした下痢か?」
と、からかうダチに、
「ウッセェ!」
と、ヘラヘラわらうが、心臓はバクバクだ。
教室移動はアイツのクラスにもある。あたり前のことに今頃きがついた。
『今日はこのくらいにしとく。教室とか、公園のトイレとかまだ色々言ってたよな。』
坂崎はそう言っていた。
そして教室とか…公園のトイレとか確かにオレは言った…。
でも、アイツの妹とかいう派手な1年の…アイリちゃん?には言ってないのに。
それに『今日はこのくらい』ってことは、またあんな目にあわされるってことだ。
オレのポケットから抜き取られたコンドーム…。
アレがお役立ちする日が来るってことか?
しかも…。
いや、考えるな
坂崎はそうガタイのいいほうじゃないし、オレはガキのころから便秘癖があって、力んで傷つけないよう力をぬくのは慣れてるし、そう大変なことには…。
いや、そうじゃないだろ。
こないだは手を縛られたけど、今度はそうなる前に一発パンチかまして…って写真撮られたんだっけ。
いくら力抜くの慣れてるったって、いきなり突っ込まれたらどうしようもないよな。
指突っ込んでほぐしたりとかって…。
それってあれだな…。
オレはガキの頃は重度の便秘で、たびたび病院のお世話になっていた。
ある程度大きくなれば偏食改善の効果もあり市販の便秘薬も使えるようになって、力を抜く技や摘便も駆使して病院のお世話になるようなことはなくなった。
痛いのはいやだ。なら指突っ込んでほぐしたりなんてのは必須なはずだ。
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