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単に美人というだけでなく、オーラがあるとでもいうのだろうか。肌は白く、黒く長い髪は触れなくてもサラサラとした綺麗な髪質であることがわかった。身長は160センチはあっただろうか。顔は薄化粧で清楚なイメージだった。そして、大きな黒い瞳に見つめられたときには動けなくなった。
その透き通るような声で挨拶されたとき、最初彼女の言っていたことは全く頭に入ってこなかった。おそらく、挙動不審な態度を取ってしまっていただろう。
正直、あの時は野田がいてくれて助かった。
そして俺も野田も、彼女から発せられる妖しい雰囲気にすっかり呑まれてしまったのだ。彼女が立ち去った後も、しばらく2人でぼーっとしていたのは今思い返すととても恥ずかしく思える。
「なあ、この課題終わったらお前ん家行っていいか?」
「お前……。来てもいいけど、隣の人とは会えないからな、普通に考えて」
「わかってるよ! でも、なんか物音だけでも聞こえたらヒイラギさんの近くにいるってことが実感できるだろ!」
こいつ、大丈夫だろうか。
俺の部屋に来るということでやる気が出たのか、野田はものの1時間で課題を終わらせ、「お前も早く終わらせろよ」と言って店の外に煙草を吸いに行った。
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