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匙と唇のにらみ合いの緊張に
全く身動きとれない坂口の横で
壇もよく健闘したが
結局四杯行かずに仰向けに倒れ、
とうとう、当たり前だが百杯は食えなかった。
食えなかったが百杯分の金は
壇家の家計から捻出された。
この事件が壇の代表作「火宅の人」が
出た後なのか先なのか
私は知らないけれども、
壇一雄が
火宅であった理由は坂口や太宰と
つきあっていたからだと
人に言われたとか言われなかったとか。
別に太宰や坂口、
壇らのいわゆる戦後の無頼派作家について
何か述べるつもりはないし
私自身とくに文学に明るいわけでもなく、
ただこんな話を知っている
いや、捏造したにすぎない。
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