作家に対するあやふやなイメージで遊んでみる

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どうせ自分を呼んだ辺りから、 太宰がもうひと遊びする腹づもりだった ぐらいのことは 壇にも大体分かっていたが、 太宰のバカより まんまと乗った自分の方が一枚上の バカだと悟り、 寒気みたいな物が背中に張りつき 心のうちでは 「ああ厭だ、ああ厭だ」と、 ひたすら呟き続けていた。 そのうち太宰が何のつもりか 口三味線で猥歌を呟きながら 空の銚子を逆さに振ってみせ、 とってつけたようにおどけた表情など するものだから、 余計に自己嫌悪がいよいよ募って、 ギャッと叫んで窓から飛び出したくなる 気持ちを抑えるのに必死だった。
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