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どうせ自分を呼んだ辺りから、
太宰がもうひと遊びする腹づもりだった
ぐらいのことは
壇にも大体分かっていたが、
太宰のバカより
まんまと乗った自分の方が一枚上の
バカだと悟り、
寒気みたいな物が背中に張りつき
心のうちでは
「ああ厭だ、ああ厭だ」と、
ひたすら呟き続けていた。
そのうち太宰が何のつもりか
口三味線で猥歌を呟きながら
空の銚子を逆さに振ってみせ、
とってつけたようにおどけた表情など
するものだから、
余計に自己嫌悪がいよいよ募って、
ギャッと叫んで窓から飛び出したくなる
気持ちを抑えるのに必死だった。
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