作家に対するあやふやなイメージで遊んでみる

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そのうち太宰がワザとらしく「あーあ」 と大きな欠伸をしたかと思うと、 よっこらしょと腰を上げた。 どうするのか問えば、 とにかく奔走して金を作ってくる、 ついては壇よ、 お前ここで居残りしていてくれろ と言い出した。 およそアテにならない男といえば、 三つ子でも指をさす太宰の為人を よくよく知る壇のことだから当然、 内心きっとやらかすな、 とは頭をよぎったに違いない。 しかし、この男 何処か人が良いのかそれとも 太宰に持って生まれた 人を丸めこむ才能があったものか、 ともかく壇一人 旅館に残ることになってしまった。 こうなると可哀そうに 壇は一人ぼっちで 終日天井のはめ板の 継ぎ目で阿弥陀くじをやったり、 便所に行くにも仲居や従業員になるべく 出くわさないよう、
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