第1章

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時間が経てば、 凪子の西川くんへの気持ちは、 また、恋に近いものになるかもしれないなんて、 甘い考えを持っていた私。 「まだ、葵が仕向けて事件を起こしてくれていたのならって……… そう信じていたかったのに、 まさか西川くんがそこまでして私と別れたがってたなんて………凄くショックで」 「………」 何も言えない。 凪子の中で私の汚名が晴れていたとしても、 彼女の中の私への恨みは薄れることはなかっただろうから………。 「葵………いいの? 面接にそろそろ向かわないと」 車の時計を見て凪子が、車から降りようとする。 「………大丈夫、あ、ちょっと、待って」 その凪子の細い腕を掴んだ。 「どうして、凪子に手を出した男達は、西川くんや岩田やその兄たちの事を言わなかったんだろう?」 裁かれなくちゃいけない人間は 他にもいたのに。 「そこまでは話は流れてこなかった………ただ、裏の世界はへんな恩義とかあるのかもしれない」 岸島は、 私の事を知って、凛々子に近付いてきたのかもしれない。 「葵………」 「………うん」 鳥肌がたって、 背中がゾクゾクとしてくる。 「葵に話して、事件をまた掘り返したいんじゃないの。 だけど、 謝りたかった………」 「え?」 声は出るのに、震えて、 ちゃんと、伝えたいこと話せてないまま、 「周りから責められて、葵が登校拒否になって、 引きこもって、 私、ザマァミロって思ってたから」 「………それは………」 「同じように、一人ぼっちになって、 病んでしまえばいいって恨んで、 本当に悪いのは葵じゃないって、 周りにも、親にも、 言えなかった」 凪子の方の糸が、 先に切れてしまった。 「巻き込んで、ごめんね………」
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