107人が本棚に入れています
本棚に追加
「巻き込んでゴメンね………」
ずっと、逆だと思っていた。
あの先輩が、わたしの知り合いだった為に凪子を巻き込んでしまっていたと、
ずっと、
そう思っていた。
「事件のこと、忘れるなんて出来ないけど、
犯人達よりも、
西川くんよりも、幸せにならなきゃって、
やっとそう思えるようになって」
凪子が、
掴んでいた私の手を優しく振りほどいて、
そして、
同じように傷を付けた手首に軽く触れて、
「もう、絶対に繰り返さない。
葵も約束して」
朴さんと同じように、
過去の私をそっと、戒めた。
その濡れた頬を、子供みたいに微笑んで見せる凪子は、
昔、私が憧れた、
カワイイ高校生の凪子だった。
「本当なら面接に遅刻なんてあり得ないんだけど?」
最初のコメントを投稿しよう!