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初君が見てられないというように目を逸らし、私に自分の首に巻いてたタオルを渡す。
青いイルカの描かれたタオルで、私は必死に胸元を隠した。
「凪、姫花にやり過ぎてるんじゃないか?」
面白くなさそうに凪は初君を睨んだ。
「こいつ、ドMだから、いいんだよ。快感だろ?なあ?姫花」
私は何も言わない。ノートに書いても惨めなだけだと分かっていた。
勇馬は下卑た笑い声を上げて硬直した私の顔を覗き込んだ。
「姫花、俺にも恥ずかしいところ、こねらせろよ。ドMなら今からでも欲しいんじゃね?」
凪が冷たく言う。
「やめろ、勇馬。人が来た」
「お前だけの女かよ?前、俺達3人で共有しようって話になってたじゃん」
勇馬が私からタオルを取り上げようとする中、小柄で痩せ細った目だけギンギンに光る神経質そうな男が私達の前を通り過ぎようとしていた。
凪が突っかかる。
「会話聞いていたのか?」
「少しは…」
男は私を怖れるように目を逸らしていた。
凪は軽く唸る。
「名前は?」
男は凪より年上なのに頼りない態度で勘弁して下さいとばかりに口を開いた。
「白峰仁…です」
凪が威嚇する。
「仁さんよ、俺達には俺達なりの事情があるから若神父様に言いつけたりするなよ」
白峰さんは軽く頷いた。
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