第1章

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諸熊奈知 野蛮な男は嫌いだわ。 その面、姫花ちゃんはされるがままになって正に人間ペットみたいじゃない?いや、奴隷並みの存在よ。 私はチュパチップスでチェリー味を味わいながら、白峰仁を眺めていた。あの目は危険だ。刺青師でさえ、コントロールできないかもしれない。 私はナイフを取り出した。よく研いだサバイバルナイフだ。舌で舐めてみる。痛みは軽く鉄の味がした。 チェリーに血を混ざる。 思わず笑い声が漏れる。 白峰仁は刺青師の言う〝人獣〟とは縁がないだろう。ただし、彼自身が〝人獣〟になる可能性があった。 処分するのは私だ。 刺青師はまだまだ子供だから、私が見ていてやらないと彼が懺悔師と呼ぶ迷い子の子羊達は暴走した挙句、彼を殺すだろう。 17歳のガキに神父をやらせるということは街中のお笑いネタにされている。 刺青師の心の豊かさや人間性には驚かされるものがあるが、やはり所詮、神父にしては未熟なのだ。 だからこそ、私がいる。 この諸熊奈知、たわいなく殺される程、甘くない。 私の観察眼は人々の次の手を予測できる能力があるのだ。 これから毎日、白峰仁はここに訪れるだろう。ただし、殺人も続ける。 彼はもはや殺人中毒たるものにかかったも同然だった。
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