第1章

22/36
前へ
/45ページ
次へ
夏海凪 俺のサーフボードは赤をベースに金と黒のラインの入った物だ。15万ぐらいで買ったのでまあ、良い部類に入るだろう。 両親は教会の掃除人をやっている俺を少々、呆れた目で見ていた。高校も卒業しないでしがないバイトをやって、両親の脛を齧る俺は社会的な面で立派な男とは言えなかった。性嗜好はまともだし、性欲に関しては人一倍に強かったから、孫の顔を見せることだけが、俺に期待されていたことだった。 だから、俺は避妊を意識する。 それでも姫花は別だった。 むしろ、一生俺との子供に尽くして欲しかった。 姫花の姉貴の蓮花は俺のライバルだ。 もし、姫花を妊娠させたら、蓮花に殺される。蓮花は俺と同い年だった。 小柄で臆病な姫花に対して長身で自信に溢れた蓮花はレズビアンと噂されている。 俺の見解だと刺青師の恋人に気がありそうだ。 何て名前だったか…。 あの女も侮れない。 観察力に優れ、相手を分析して、相手の次の手を予測できる女など、全然可愛くない。 可愛くないと言えば、刺青師もだ。 どうしたら17歳のガキがあんなキャラを演じられるのか。この街の若神父のファンはショタコン女が多い。実際、祈りながら、刺青師に色目を使っている女がほとんどだった。アイドル的存在とでも言おうか。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加