第2章

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「よお、姫花。今日もあそこはびしょ濡れか?」 凪がシアターまで迎えに来る。 凪は教会の孤児院の教師として、酒嬢教会で住み込みでバイトしながら、たまに海に出ては、サーフィンを楽しんでいた。 シアターまで来る時は最悪だ。 要求不満を私にぶつけるためであることが多い。 案の定、弱1時間、身体を弄ばれた後、教会の裏庭の崖っ淵まで連れて行かれた。 凪は車椅子を押しながら、シスター達に挨拶する。人が違うように爽やかな笑みを浮かべていた。 刺青師剣が棘を持った目で凪を見る。 「解放は考えられないのですね」 凪は薄ら笑いで答えた。 「玩具は玩具ですよ。好きに遊んで何が悪い?若神父様」 「貴方は狼ではなく羊に過ぎない。ずっと彷徨うのですか?」 私は紙に小さく書き込む。 《以前お聞きしたバーチュの呪いとは解けるものなのですか?》 若神父様がやんわり諭した。 「呪いは身近の存在であればある程、強力なものになります。呪い主が見覚えのない方である可能性はゼロに近いでしょう」 凪が肩を怒らせる。 「あの白峰仁ってヤツが怪しいな。如何にも人間を甘く見ていそうだ」 若神父様は微笑む。ゾッとする程歪んだ笑みだった。 「彼には彼の世界があります。それでいいのです」
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