第2章

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刺青師剣 《早くクールー病の脳が欲しい》 「急ぐのですか?」 《時折、考えるのだ。お主と私が変われば教会も元の栄光を取り戻すのではないか》 「楽我の時代ですね」 《お主は若過ぎる》 刺青師剣はアイスクリームを食べていた。信者に見つかるとマズイことは結構やってきている。 それでも年増の女性からの人気は衰えなかった。 刺青師のずる賢い笑顔が周りを油断させる。 神の使い?17歳の青年だ。刺青師は聖書よりグラビアを好んだ。 美水クレアさんのボディ最高だ。諸熊と良い勝負だろう。あの胸が…。 林鳩(ハヤシヤス)が大き過ぎる眼鏡の位置を直しながら、刺青師に近寄り聞く。同い年だが、鳩も学校に行っていない。家庭内事情と聞いたがどう考えても叔母に軟禁されている。 「若神父様、今日も聖書ですか?」 「神は自ら創るものですよ。聖書を読んでいると神を具体的に創造できるようになるのです。鳩、貴方も聖書はどうですか?」 グラビアの裏に聖書をくっ付けたまま、刺青師は答えた。 顔が自然と慈悲深い微笑みに近付く。 鳩はノートを取り出して、黒を中心とした幾何学的な物体を美しく描いた。 「僕の神です。若神父様の神をお見せ下さい」 「まだ貴方はその段階に来ていません」
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