第1章

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私の家は酒嬢海(サカジョウカイ)教会を下り切った贅無(ゼイム)シアターの中にあった。 華園姉妹・蓮花(レンカ)と姫花(ヒメカ)は街の歩く花として人気があった。『笑顔が花が咲くかのように見える』そうだ。映画館のチケットを配りながら父は昔から自慢していた。 そんな父も肺がんで急死し、今はお姉の蓮花が家計を支えている。 私もどこか働かなくてはいけなかったが、私の成績は悪く、就職先がなかなか決まらなかった。『頭が悪ければ体を鍛えろ』が蓮花の名文句でその言葉が飛ぶ度に身体に刺さる物がある。私には男受けがいいしか取り柄がなかった。 凪とは一時、結婚まで夢見た。 だが、あの日を境に凪は変わった。 今まで仕方なく付き合っていた情事も荒々しいものになり、私もいつの間にか話すことも自分の足で立ち上がることもままならなくなった。 凪とは3年間の付き合いがある。 だが、あんな下衆野郎、映画でも見たことない。 陵辱の果てに今では男友達に見せるようになっていた。 凪から離れなくてはいけないのに、私は知っている。 凪が【死神サーファー】になって、もう私に拒絶させなければ、私との関係がお終いになることを。 【死神サーファー】は愛し拒まれない者を、或いは憎んで拒まれない者を殺すのだ。
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