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うんざりしていた。
何が、不良だ。
親への反抗?
教師への反抗?
タバコ?
カツアゲ?
暴力?
全く、くだらない。
俺は毎日イライラしていた。
不良のリーダーに祭り上げられ、やり甲斐も達成感も無い日々に流されていく中で、笑う事も忘れて時間を無駄に浪費した。
高校に入っても、状況は大して変わらない。
俺の顔を見るなり恐れを露わにする奴。
おこぼれを預かろうと擦り寄る奴。
『喧嘩上等』と挑んでくる奴。
まぁ、中学時代無気力に身を任せてロクに勉強もせず、体力馬鹿と不良の吹き溜まりみたいな高校に入学した俺にも非はあるが。
「木戸さーん!」
「ちょっと便所行ってきます!」
スネオと、モジャ公。
一見すると顔も背格好も似ている二人だが、見分け方は簡単だ。
スネオはちょっと小狡そうな顔をしていて、モジャ公は毛深い。
高校生にもなって連れションをしているコイツらは俺を特に慕っていて、ハッキリ言えばただの馬鹿野郎だ。
「おー、前見て歩け。すっ転ぶぞ」
俺のセリフの3秒後に、スネオはモジャ公の足に蹴つまずいて顔面からずっこけた。
「ばーか」
その馬鹿さ加減が、いつもどこかイラついている俺を和ませる。
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