たぶんヘンなオレ

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たぶんヘンなオレ

『絶対ヘンだって!!』  自問自答する。  でも、仕方ないじゃん。こうでもしないと、面倒だもん。はぁ、見てるよ。注目の的、だよな。『いい男!』とかだったら、鼻高々だけど。いや! これでいい! これでいいんだ!  オレは、皮膚という皮膚は、全て隠している。こうすると、何も起きないのだ。今は、クソ暑い夏も終わって、やっと涼しくなってきたので、あせもができて痒くなる心配もない。やれやれだよ。早く冬にならねーかな。さすがにこの、毛糸の目出し帽は暑っ苦しい。銀行強盗にでも行くのか!って感じ。当然、コンビニには行けない。大型スーパーでも怪しまれる。覆面じゃなくて、包帯に替えるかな? あ! そうだよ! 不審人物には違いないけど、けが人だもん!って、ケガはしてないけど。明日からそうしよう。とりあえずは、包帯を買いに行くかな。ミイラ男みたいになっちゃうけど。 「これください」  オレは包帯をレジに出した。 「はい、ありがとうございます…」  店員の語尾が怪しくなった。早く精算してくれよ! 固まってないでさぁー! 「ニ、ニヒャキュ、キュウジュウゴゴ、ヘンデフ…」  えー! いくらだって! 二百九十五円か。レジのディスプレイに出ていた。  三百円を渡した。あーあ、釣り銭をこぼしてくれた。面倒なので、そのまま立ち去ったよ。  ふぅ、皮膚を出すよりはマシだろう。しっかし、面倒なことになっちゃったよ。オレ、どうなっちゃうんだろ? ショーウインドゥにオレが写った。  オレは仰天した! これ! マズいじゃん! サングラスじゃ、ダメなのかよぉ―!! パワーアップしてるじゃん! 昨日までは、大丈夫だったのに!  そりゃ、ビビるよ。オレだったら卒倒するよ。あ! 家に、水中メガネがあるな、それにしよう! 急いで帰らないと。あ、またヘンな目で見られてる。  しんどいけど、走るか! 今は、電車もバスも使えない。なんでいきなり… オレはコイツを抑えこんだ。 『こら、引っ込めよ!』  引っ込んでくれない。オレにだけは、害はないようなんだ。でも、他の人が触ると、変わっちまうんだよ。
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