第3話 ノンフィクション率70%

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「それだけじゃないわよ。もっと小さい頃だったら……」  ヨチヨチ歩きを始めた頃、倒れた先に機械があっておでこを切った。  掴まり立ちし始めた頃、大型バイクに掴まり倒れて下敷きになり後頭部を切った。  いやいや、そんな覚えてもいない昔を言われても困るよ。 「そもそも、あんたはハイハイを始めたその日にいきなり階段に近寄って落ちるし……」  うん、それは耳にタコだなぁ。  一日一歩ペースの超安全コースでいいのに、どうにも変なショートカットが起こる。  今回の事故も体が飛んだもんなぁ。  空中で高速回転した時は確かに真っ白になったよ。  ギブミー地道な安全生活。  でも、そうかぁ。  母の言う耳タコのハイハイ落下事件。 これがそもそもの始まりだった、のかなぁ。  これ以上もう、飛びも跳びも翔びもしませんように。  そんな単語は物語りの中だけで十分だよ。
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