第1章

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私は高校への進学に合わせて。学校の近くの駅前のイタリアンレストランでアルバイトを始めました。 私のアルバイト先のイタリアンレストランは、とても評判が良くて。連日長い行列が出来る程です。 ただ、このイタリアンレストランの最奥には特別会員室があり。特別会員証を持った特別会員様が御来店された折りには。“必ず”特別会員様を最優先して、奥の特別会員室に御通しするようにオーナーから厳しく言われています。 『こ、これは四名家の次席家の御当主様。御来店頂き恐悦至極にございます!!』。 黒服の大柄の護衛の男性達に警護された、私と同い年くらい小柄な男性に対して。オーナーが腰を直角に曲げて挨拶をしていたので。私も頭を下げました。 『このお店のシェフの弥生さんの料理はとても美味しいですからね。今日も楽しみにしていましたね』。 少し独特な話し方をされる御方みたいですね?。 『も、勿体無い御言葉です!!。直ぐに特別会員室へ御案内…』。 四名家の次席家の御当主様と呼ばれて御方が。右手を上げてオーナーの言葉を遮ると。オーナーはピタリと口を閉じました。 『そこの貴女。とても綺麗な黒髪をしていますね。僕の案内をして下さい』。 『は、はい!!。直ちに御案内させます!!。綾君。御当主様を御案内しなさい。御無礼が無いように!!』。 私はオーナーと、次席家の御当主様に向かい頭を下げて。 『はい。御案内致します。どうぞこちらへ』。 私は御当主様を先導して。お店の最奥の特別会員室へと御当主様を御案内しましたが。うなじの辺りに背後から視線を感じました。 『さっきも言いましたが。とても綺麗な黒髪をしていますね。“気に入りました”』。 御当主様の。いえ、御主人様のこの言葉が「これが全てのはじまりだった。」と言えます。
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