棲む蝶々~remember me~

Ⅱ

大事なコレクションの当日、私のやった事を知り、逆上したモデル仲間に、

「っざけんな……っ！！」

階段からつきおとされ、

「ブスッ！ブスッ！てめぇなんか地獄に堕ちろ……！！」

罵声と共に顔面や身体を殴られた。

ショーへの参加は中止。

顔や身体に傷や痣を作って、芸能活動も休止。

この事件がきっかけに、今まで事務所の力なんかで抑えられていた私の性悪な部分は一気にマスコミやネットに広がり、

あっという間に仕事も知人もファンも減った。

ちやほやされていたのに、腫れ物を触るように扱われる。

距離を取られて、やがて誰も傍にいなくなる。

そのキャラを前面に出して復帰すればいいなんて、事務所の人間に言われたけど、身体には僅かにだけれども傷跡が残っていて、露出の多い服や水着は着れない。

私が着たくない。

見せたくない。

誰とも関わりたくなくて、何もかも面倒に思えて、とにかく静かな場所で暮らしたい。

前に撮影で使った時に気に入った、町外れの高台にある、この南欧風の家と広い土地を購入し生活を始めた。