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地方の島で暮らす両親からの援助と、減っていく貯金で毎日をしのいでいく日々。 あんなに好きだった買い物も殆どネットですませてる。 時間は経過し、やがてマスコミにもネットでも騒がれなくなり、モデル藤城華は世間に忘れさられていく。 今じゃ二十九歳の引きこもりオバサン。 このレンガ壁の中で独り、自由に暮らしてる。 「どう?これでも綺麗?魅力的?」 一通りの過去を話し終え、私は改めて男に尋ねた。 「私がここでこうなっちゃってる理由、あまりにも同情の余地がなくて自業自得って奴で困っちゃう?」 「……」 「だから、もうストーカーする程の気持ちは私に持たない方が幸せだよ」 自分で自分のしてきた事をよく知っているから、逆にこっちが男に同情してしまいそう。 「玄関はあっち」 そう男に指さして教える。
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