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「……仲、良さげだね」
「えっ?」
ぼそりと呟く胡麻油を見上げる。僕の親友が無表情で、はしゃぐ輪の中のテンプルを見つめていた。
「違うよ、そんなんじゃ……」
次の講義へと移動する生徒の群れの中から僕に手を振るテンプル。否定の言葉を飲み込んだ。
「俺たちも行こう」
「あ……」
小さく背中を押されて胸がぎゅっと締めつけられる。
「……」
僕が好きなのは君なんだよってそう言えたらどんなに楽だろう。
「――」
無言で歩き出した広い背中を僕も無言で追いかけた。
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