第1章

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「お食事ですよー。」 起床してしばらくすると、朝食が運ばれてきた。 あら、今日はお蕎麦なのね。 私は、久しぶりのまともな食事に喜んだ。 病院食というのは実に味気ないので、たまにはこういう物が無性に食べたいのだ。 カーテンの陰から、看護士が手だけ出してテーブルに食事を置く。 「ここ、置いときますねー。」 そう言うと、そそくさと去って行った。忙しいのだろう。 「いただきます。」 私は手を合わせると、まずはお蕎麦から箸ですくって口に運ぶ。 「おいしい、おいしい。」 食事をしていると、カーテンが開いて、久しぶりに主人が顔を出した。 「どうだ?調子は。」 そう言って私を見たとたんに、表情を強張らせた。 「お前!何を食べてるんだ!」 そう言うと、私の手から乱暴にお蕎麦のお椀を取り上げた。 「え?何って?お蕎麦だけど?」 「これのどこが蕎麦だ!」 私にお椀を向けると、その中には無数のミミズがのたくっていた。 「いやあああああ!」 きぃきぃきぃきぃ。 ガラガラガラガラ。
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