戎会×桐藤睦美

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だからこそ、興味も湧いたし、色々と話し掛けてくれる彼女のコミュ力の高さに助けられ、 どうにか仲良くまでは行かなくても、話をするのは苦ではなくなった。 「睦美って呼んでいいですからね?」 クスクスと笑う睦美に口先を尖らし、四禮が口を開く。 「何で敬語なんだよ」 「え?先輩だし?私、澪君(レイクン)の助手だし? で、力の譲渡はどっちが良い?キス?それとも、セックスかな?」 高校生には詰まるような話題だが、これはれっきとした仕事である。 そう割り切らなければならないのは、四禮澪時の所属する戎会で十二分に知っている。 だが、それだけで割り切れるほど澪時も大人ではない。 そもそもに大人だから許される訳でも無い。 「抱き締めるだけでいい…」 粘膜の接触以外で一番力が貰えるのは、抱き合う事。 それが澪時の譲れる精一杯の譲歩だった…。 「解った」 彼女は戸惑う事無く両手を広げ優しく澪時を抱きしめた。 「貴方の好みに合うかしら?」 クスクスと澪時より背の低い睦美が笑いながら腕の中でもそもそと動く。 「好みとか…じゃないだろ、アンタだったら誰でも貰えると思う」 「アンタじゃないよ?もう君の助手なんだから睦美で良い」 「睦美…」 「そうそう、その調子」 抱き合いながらそんな話をするうちに力が溜まり、スッと離れると睦美もニッコリと笑った。 「思ったより、吸われる感覚あるんだね」 支えを無くした睦美がふらりとよろけると、四禮が腕を取った。 「そう…なのか?」 「なんだか、腰抜けちゃった」 と、笑いながら彼女はその場にへなへなと尻もちを付いた。 慣れるまでは数日腰を抜かしていたが、一か月も過ぎればある程度の我慢は出来るようになった。 だが、澪時があまり抱き付く行為を良しとしない為、力不足ぎりぎりのラインで睦美から力を貰う事が普通だった。 だから、あの日も…同じように力不足にならない程度の力を貰った
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