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四禮は、こっそりと寺を抜け出し一花の携帯へと電話をするため、
行動を起こした。
あまり大きな町ではないが、バイクで移動できるのは有利で最初押して出るとその後からエンジンを掛け、
出かけたのをばれない様にしてコンビニへと向かった。
そこで数点買い物をし、忘れたから買いに出たと言い訳を用意し終わってから、
そこに居た女性店員に携帯を貸して貰えないかと声を掛ければ、あっさりと許可を貰え、電話を掛ける。
内容を聞いて、間違いなく巻き込まれてるのを確認し自分の家に誘導したら今度は所長に電話を掛ける。
一花を監禁すると宣言したと取られてもおかしくない言動。
解らなくも無いが、四禮はそれをさせたくはない。
一花の為にも。
「・・・先生?」
『澪時か、一花ちゃんの事か?』
「そうです。」
全貌を聞いて、澪時はガックリ肩を落とした。
一花からは起こった現象だけを聞いて居たので、思いもしない名前が出た事に
深い溜息を落とした。
だが、不用心に一花を紹介してしまったのも自分だと、舌打ちを一つ落とした。
結局、村雲に聞いた話では一花は目をつけられたであろうとの事だった。
神や、悪霊に好かれる体質なのだが…一発で目を付けられるのもたまったものではないだろう。
だからこそ…神の子として、守護されるのだが。
「ホント、アイツ油断ならない・・・」
誰もが好くのかと言えば違うのだが、
一花は怪異に特に神の関係にはかなり好かれるのだ。
先日の巨木も、それと同等のモノであり、四禮はその事に付いては十二分に理解しては居たがまさかこのタイミングで、それが起こるとは思ってもなかった。
ありがとうと、携帯をレジに居た子に渡せば頬を染めたアルバイト店員であろう少女が、スッとレジを挟んだ四禮の前に11桁の数字を書いたメモを差し出した。
急いでるのに厄介だと舌打ちを落とし四禮はボソリと告げた。
「悪ぃけど、用があったのは携帯だけで中身は不要だ。助かった・・・」
カウンターにあった電話番号を書かれた紙の上に千円をスッと置いて、四禮はその場所を後にした。
戎会に戻り、3日の会合を終えると深夜を回っていたが、そのまま四禮は自宅へとバイクを走らせた。
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