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四禮が抱き込んで気付いた事、それは一花の手頸が縛られベットに身体が固定されている現状だった。
「ばっ!俺じゃねえぞ!真中が見てる時は、抑え切れねぇんだよ!」
ベットの横で立ち竦んでいた横沢が言えば、四禮が薄く笑った。
「…交代で護ってくれたのか?」
「あ~、おう…まぁな」
照れ笑いしつつ、視線を彷徨わせながら暴れる一花をどうにも出来ず抑えるしか出来なかった横沢が、
ドッと疲れたように腰を下ろした。
「こんなちっせぇ身体になんて力蓄えてやがるんだよ…抑えるのに俺が低一杯だったぞ?」
はぁ~と、今までの疲れを吐き出すように溜息を落とす。
「あぁ、神からも力を借りちまってるからな、そりゃ力づくでもなかなか止まらねぇよ…
マジ助かった、サンキューな、拓馬」
一花を抱きしめて伝えて来る四禮に一度視線を向けてすぐに視線を背けると
「真中に言えよ…アイツが言いだしたんだ…一花を助けようって」
と、告げると
四禮がそうかと、答える前に腕の中で一花が暴れ出し、四禮がギュッと一花を抱きしめた。
「一花っ、暴れんな」
「うあぁああぁあぁあああぁあぁぁっぁぁぁ」
四禮の腕の中で縛られた腕が、殴ろうと必死に動く姿に四禮は眉間に皺を寄せ、横沢を見た。
「暴れ出してから何日経った?」
一花が暴れ出したので、ジッと二人の動向を見守ってた横沢がその問い掛けに答える。
「丁度三日目だよ、お前と別れた後俺らが突撃してこの家に入って、
事情を聞いた直ぐ後にいきなりだった…何なのか解らねぇが…」
そうか、と四禮が一花の暴れている身体に体重を掛けて暴れて逃げ出さないように抑え込む。
「人が言う…神だろうな、一花に力を与えて呼んでるのは」
「そうなのか…」
ガックリと肩を落とし、横沢が抑え込む四禮を見ると苦笑いを零す。
「お前には無意識だろうけど…普通の男女が取る態勢じゃねぇぞ…」
一花の頭を四禮の胸の中へ、両足は四禮の足の間に確りと固定され、抱き込んでいる状況に
横沢が伝えるも、それが何だと言わんばかりの表情で答える。
「バカか、気にしてれば一花だって痛い思いするだろうが」
「まぁ、な…」
バタバタと暴れていた一花が、やっと一息を入れる様に大きく息を吸い込み
パタリと力を無くすように眠りに付いた。
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