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例えばもし監禁されてしまえば四禮も、助けに来るかもしれない…でも
そう行動を起こさせれば村雲と四禮の離別を意味するようで
自分一人の為に四禮の居場所を奪ってしまう気もしている。
「よし、解ったよ一花だったら私達が手伝うから」
「え?」
「ここに居るだけで良いんだよね?だったらここで一花を護るよ」
任せてと胸を叩く真中に一花はサッと血の気が引く。
「ま、待ってマナ…私の力が暴走しないとも言えないし…
本当にどうなるか解らないんだよ?それなのに…」
必死で告げる一花を悲しそうな目で見ている真中を見て横沢が深い溜息を落とした。
しょんぼりとしている真中の肩に手をポンと置いて、横沢が一花を見据える。
「バカだな一花、お前が逆の立場だったらどうよ?困ってる奴助けたいと思うだろう?
それに友達だぜ?見ず知らずの人間でもあるまいし勝手に一人で籠ってろ
なんて言える訳ないだろうが」
そう言われてしまえば、一花だって同じように真中が苦しんで居れば手伝うだろうと思えた。
だが、今の状況は本当に危険度が格段に高いのだ。
それを四禮と言う護人間がいない現状で勝手に頼むのも気が引ける。
けれども、そう言われても恐らく自分であれば同じ状況に陥った真中を護りたいと願う。
「ごめんね、そうだよね…ありがとう、
じゃぁお願いするけど…危なくなったら逃げてね?それだけは約束して?」
一花の最大の譲歩、その言葉に二人がコクッと頷いた。
その直後だった。
グラッと揺れが起こった事で、皆が一斉に捕まる場所を求めた。
ゆらゆらと揺れる中、真中を抱きしめて横沢が部屋の窓側の壁で身体を支え、
一花がベットの傍でペタリと座り込んでいる状態だった。
「地震なの?凄く変な揺れだよね!?」
横沢の胸に手を握り締め、腰を支えられた状態で真中が一花に手を伸ばす。
まだ、揺れは収まらず一花をまずは自分達の元へと真中がゆっくり近寄る。
「あぁ、縦揺れとも横揺れとも取れないような…脳が直接揺れてる感じが」
横沢が答えたと同時だっただろうか?
一花がスッと揺れているのに、浮いているかのように普通に歩き出したのだ。
地面を普通に歩いているのに揺れは収まってなくて、真中が必死に一花を呼んだ。
「ちょ、一花!?どうしたの?」
「おい、一花!」
二人の声が耳に入っていないように一花が目指した先は、玄関ではなく目の前にある大きな窓ガラス。
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