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ベランダがある為、人が一人通れるほどの窓に一花がゆらゆらふら付くように足を進めて行く。
「おい!一花」
慌てて横沢が窓の前に飛び出して、一花の動きを止めようとしたが、
一花の手が横沢の前に差し出され、掌がグッと突き出されると、
風が巻き起こり横沢の身体がふわりと浮かんで飛ばされた。
「うわぁ」
それと同時にガシャンとガラスの崩壊音が聞こえ、誰も触れていないガラスが割れ
真中が外へ向かって行く一花の足を掴んで止めた。
「一花ダメっ」
ガラスに突っ込んでしまえば一花が傷付いてしまうと必死に真中が止めに入るが、
それも聞かず前へと出ると一花の腕がガラスに引っ掛かったのだろう。
ピタンと音を立てて床に一花の血液が落とされた。
ジワリと床の血痕が滲む中一花の手がバチッと何かに弾かれた。
その弾かれた手を不思議そうに見る事で動きを止めた一花を見て真中が叫んだ。
「拓馬今よっ一花を止めてっ!!」
真中の必死な声に慌てて横沢が一花の身体を引き寄せてベットに投げ捨てる様に
一花の身体を振ると、一花はその場所で起き上がる事に苦労をしているように動きが鈍くなった。
「何だか解らねぇが、今しかない…真中っ、カッターか包丁を」
「ハイ」
その間に下に敷かれていたシーツを引っ張りカッターを渡された横沢が切れ目を入れて引き裂き
紐状にすると手を縛り、足を固定する最初はベットが浮くほど身体を振り回して暴れたが、
数十分暴れるとその後はすぐに眠りに付いたのだ。
この状態の一花を置いて行ける訳もないと、
横沢と真中で交代で見てる事にしたのだ。
初日は何が起こるか解らないからと二人で泊まり込んで見張ったが、
一花が暴れる事は何度かしかなかった。
縛られているお蔭で、真中の力でも抑えれるし
どうにかなっているがこれが放置して居たらと思うと二人はゾッとする。
そうして三日を乗り越えたと言う事だった。
語り終えた横沢がクッとお茶を飲み込むと、澪時がチラリと一花を見て声を零した。
「そうか…すまんかった、スゲー助かった」
「あーまぁ、こう言う時くらい声掛けてくれよ…
真中も俺も一花を一人にすんのは流石に心もとないしな」
そうだなと、声を上げつつ四禮はスッと窓を開いた。
「あ、おいっ、ガラスあぶねぇぞ」
「解ってる」
スッと指先を扉の外に出してピッと何かを剥がすとそれをジッと見る四禮を横沢が覗き込んだ。
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