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行方不明の女子高校生…
そう考えながら、帰路に付いて居た一花は、通りかかった学校前で
見た事のある人間と遭遇した。
「あれ?アンタ…確か、う~ん…っと!四禮の嫁だ!」
その言葉に一花は目を見開いた。
「よ、嫁になった覚えはありませんけど」
「じゃぁ彼女だったか?」
「それも違います…」
ジト目で見る一花の視線を無理にはぐらかし、冷や汗を流しながら横の細身の男性へと視線を向けた。
男性はカチャリとメガネを指先で押し上げるとニッコリと笑って一花に視線を向ける。
「倉崎さんですよね?」
「そうです、四禮君の“助手”の、倉崎一花です」
助手を強調すると、ガハハと品のない笑い声が響き学校前なんだからと、後輩刑事に宥められている目の前のクマのような男性が広田と言う刑事。
横の細身メガネが神成と言う刑事で、この二人はいつも一緒の行動で相棒だと聞いている。
ただし、四禮抜きで会う事など殆ど無いので、違和感が一花の中に生まれていた。
「どうしたんですか?こんな場所で」
「お嬢ちゃんはどうしたんだ?こんな場所普段通らないだろ」
「あぁ」
スッと出て来た大きな公園を指差し、ニッコリと笑った。
「公園で四禮君のいない時間を楽しんでました」
「…いないのか」
あからさまに残念そうな雰囲気に一花が首を傾げた。
「え?」
「あーいや、アンタが助手だって言ってたよな?ちょっと事件があってよ、鑑定して貰いたかったんだよ、帰ってきたら俺に真っ先に連絡くれって伝えてくれるか?」
「あ、はい…鑑定ですね?…解りました。
予定では、三日後には帰って来ますので、それから伝言しますね」
その言葉に、広田がウーンと一つ考え込んだ。
ボソリと、三日は待ち過ぎだなぁと呟いた後、一花の肩に徐にクマのようなグローブのような厚みのある太い手が乗せられた。
「嫁は、助手だからいい。アンタ見聞してくれ!」
「は?!無理ですよ、私四禮君みたいに力ある訳じゃ無いし、連れ戻すなんて出来ないしそもそも、私はまだまだ未熟過ぎて、何をして良いのかも解らないんです!ぜーったい無理です」
自分は無能だと、散々言ったはずなのだが…
一花は首元を引かれて、何故かクマ男に攫われるように、失踪現場へと向かった…と言うか、連行された。
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