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二階まで一花を背負って進めば、一か所だけ嫌に明るい場所が目に入る。 四禮に来るなと拒まれていた場所だけに広田にしてみればワクワク感も相まっているのだろう。 扉をノックすると、中から金髪ヤンキー男の柊司が姿を見せた。 「一花ちゃん?」 すぐに威圧感のある男性の後ろに背負われてる人間を見て、慌てて中へと通すと、相談室①と書かれた場所に通された。 何故かそんな場所にあるベットに首を傾げる神成だったが取りあえずは彼女を寝せて下さいと言われ、素直に神成はそのベットに一花を横にした。 「あれ?一花ちゃん?」 ひょっこりと相談室へ現れたのは村雲所長だった。 「あ~ちょっと、誘拐現場に連れてったら具合悪くなっちまってよ…」 「あなたは?」 チラリと広田、神成を見やって、声を掛ければ胸元から警察手帳が取り出され中を開けば神成も同じように見せる。 「あぁ、澪時の助力者か」 「知ってるのか?」 「ええ、私がこの事務所の所長ですからね」 「あぁ、あの行方をくらます所長さんか。澪時には世話になってる」 そう言うと、ペコリと広田が頭を下げる。 村雲はそれを視界に入れてから、チラリと一花を見やった。 「どうして彼女をそんな場所に連れてったんですか? 澪時の助手っても、彼女は何も出来ませんよ?」 まずは、ゆっくり休ませてくださいと二人を部屋から出し、柊司に一花を任せて二人を事務所の長椅子へと誘導すると、二人はためらいなく腰を下ろした。 そこへ、横内がスッとお茶を出すと、広田が目を見開く。 「こりゃまた…随分綺麗なねーちゃんだな」 「それは、ありがとうございます。」 そう告げてペコリと頭を下げる横内が、そのままお盆を持って下がると村雲が少し待っててくださいねと、一花の居る部屋へと消えて行った。 「…無駄に顔面偏差値高いな」 「そうですね、きっとココの室内で偏差値を一番下げてるの広田さんですよ」 その言葉に一言多いんだよ!と、お怒りモード炸裂中、一花の居る部屋では軽い除霊が行われていた。 「ったく、一花ちゃん付いてっちゃだめだよ?」 「無理やり連れて行かれたんで、不可抗力です」 「あぁ、あのクマ強引そうだもんね」 クスクスと笑って一花に指先を向けた。 「さ、ゆっくり目を閉じて」 その言葉に従い、一花が目を閉じるとすぐに意識が暗転してしまい、何が起こったのかも解らずに眠ってしまった。
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