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村雲事務所では、長椅子に腰を掛けた村雲が眉間に皺を寄せていた。 「どうしたんですか?」 柊司が問い掛ければ、参ったと呟き、チラリと一花の寝ている部屋を見て溜息を落とした。 「あの子、一花ちゃんが次のターゲットになったかも知れない」 「え?神隠しって事ですか?」 「そう、今までの神隠しは条件があったんだよ」 「条件?」 「そう、それが一花ちゃんにも当てはまる」 「噂では高校生までの女性って所で、一花ちゃんは大学生だが当てはまらない、けれど、身長で考えると、高校生までなら、低い子は150無い子も居るだろ? 皆低身長って事なんだよ、恐らくね」 ホワイトボードをぐるりと裏返せば、先日起こった事件の被害者の特徴が書かれたものが現れた。 「身長150前で、そして霊感が少しでもあるもしくは霊感があると知られている子、女性、この子達の特徴を考えればそうなるのだが…一花ちゃんも見事にそれに当てはまると思わないか?」 「あ」 柊司が目を見開いた。 「でだ、この件は神が絡んでるかも知れないと言う事から、戎会が動いてる…俺に依頼して来たのも下調べとして任された以上、一花ちゃんが狙われてるなら彼女の存在を隠し通せないと言う事なんだ」 その言葉に、柊司が頭を抱えた。 「あぁ、そうなるよな~うっわ~不可抗力がこうもこっちに悪く影響するとは…澪時滅茶苦茶怒りそうだ…やべぇ、アイツマジ切れすっと、何やるか解んねぇし」 「澪時は何が何でも一花ちゃんを護りたいと言うだろうからね…どう伝えようか?」 そう、戎会と言うのは、神子の器を求めている。 そして彼らはキット一花を神子と認めれば、牢獄から一生出さないで研究し続けるだろう。 それは、村雲も反対している所である。 戎会になど渡して力を付けさせれば、戎会は違う意味で暴走する可能性がある。 「一花ちゃんには眠りの印を結んだから恐らく今頃澪時焦ってるよ」 携帯をちらちらと見せれば、現に今も携帯に着信中で、出る気が無いのだろう村雲が苦笑いを零した。 「悪いけど…柊司も今日は澪時と話すの禁止ね」 「…はい」 携帯を取り出すと、柊司は電源を落とし深い溜息を吐いた。 「睦美にそろそろ起きて貰わないとだなぁ~」 「睦美さんですか?」 澪時が相棒に持った最初の人であり、恐らく好きだった人。
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