血塗れの守り手

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―――――――― その日の昼休み、俺は風紀委員会の部屋に呼び出しを受けた。いつもの校内放送ではなく、今日の呼び出しはパディカ教諭から直接言われた。それも時間指定だった。 「ちゃんと行ってくださいね! 絶対ですよ!」 彼女の真剣な表情と念押しの言い方から、いつもの呼び出しとは違うと直感した。一体何が待っているんだ? 多少の不安を抱えたまま、俺は言われた時間に風紀委員会の部屋を訪れた。 ドアを開けると中には風紀委員会の面々がいた。他にもトプノ学院長、アーキバメイド長。ドラコ生徒会長に、あと学年主任の教師が数名いた。 一体何の集まりなんだ? 不思議に思っていると全員の視線が同じ方向に向いていることに気づいた。 その先を追うと部屋の奥に、人と同じ足を持つ鷹が2羽(?)いた。それらは俺たちと向かい合うような形で椅子に腰かけていた。 「どうも初めまして。ワシは警ら隊のホークスと言います。横にいるのは部下のワンシ。以後、お見知りおきを」 警ら隊? また来たのか。 2日前にも来ていたという話を聞いた。今日は何をしに来たのか。教師だけでなく生徒も集めたとなると、並々ならない事情でもあるのだろうか。 「本日、皆様にお集まりいただいたのは先日この学院に出たと言う不審者の話をもう一度していただこうと言うわけでして。ご協力をお願いします」 おじさん口調のホークスがそんなことを言う。 真っ先に反応したのはドラコだった。 「その件についてなら、すべてお話ししたと聞いています。それと、警ら隊のお2人が来られた理由が不審者事件の再調査なら何故私はここに呼ばれたのでしょう。私はその件に関して、まったくと言っていいほど関わっていないのですが?」 「疑問を抱くのは当然だと思います。何故2度も同じ話をしなければならないのか。これはワシの経験ですが、改めて話を聞くことで見えてくる真実というのがあるんですよ」
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