血塗れの守り手

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順を追って説明しましょう、とホークスは語り出す。 「まず皆さんは街の方で通り魔が出ていることはご存知でしょうか。Iキラ、でしたか。生徒さんの間でそう呼ばれている通り魔です」 生徒たちはそれぞれ、隣にいる者と目を合わせる。ホークスはそんな反応を見ながら話を続けた。 「これはワシ個人の考えですが、そのIキラはこの学院に現れた不審者と同一人物ではないかと考えています」 ………。俺は無言で自分の首にかかっているロザリオに視線を落とした。するとロザリオ――レジェから『我を見るな』と返ってきた。 「この学院に不審者が現れた直後、街にIキラが現れました。双方を関連付ける根拠はまだ何もありませんが、もしかしたら皆さんにもう一度話を聞けば何かわかるかもしれないと思ったわけです。それと、赤い髪のお嬢さん。あなたはさっき不審者事件に関して自分はまったくと言っていいほど関わっていないといいましたね?」 「はい。それが何か?」 「その言葉が正しいなら、あなたは無関係じゃない。まったくと言っていいほど。それはつまり少なからず事件に関わっているという言葉の裏返し。犯人に繋がる手がかりを持っている可能性がゼロでないのなら、ワシにとって話を聞くに値する貴重な情報元というわけです」 ホークスの言葉に納得できる部分があったのだろう。ドラコは完全に口を閉じた。他の者も口を出すことはなく、次の展開を待っていた。 ホークスは部下のワンシに視線を送る。それを受け取ったワンシは背筋をピンと伸ばして立ち上がる。 「ハイッ! それではこれより事情聴取を行います! 名前を呼ばれた方は隣の教室に来てください。他の方はこの場で待機をお願いします!」 それから警ら隊の2人が隣の部屋に移動し、事情聴取が始まった。3名ずつ呼び出され、隣の部屋に移動する。そして話し終わると好きに帰っていいらしい。風紀委員会室の窓から教室に戻る生徒の姿が見えた。
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