血塗れの守り手

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自分の順番はいつやって来るのか。名前の順とかではないようで、いつ呼び出されるかわからない。 待ち続けること十数分。結局俺の名前が呼ばれた1番最後だった。 「アネ・ゴソッチオさん。スライ・ハッシュブレードさん。タナカ・コタローさん。お願いします」 ワンシに呼ばれ、俺たちは部屋を移動した。 待っていたホークスは教壇の前に立っていた。俺たち3人はホークスと向かい合う形で適当な席に腰掛ける。 「待たして申し訳ない。君らで最後だったかな?」 「はい」 「そう。じゃあ早速始めようか。いくつか質問するので分かる範囲で答えてください」 事情聴取が始まった。ホークスは不審者騒ぎがあった日のことについて、俺たちにそれぞれ質問し、聞いたことをメモした。 不毛な時間だ。質問に答えながらそんなことを考える。あの騒ぎとIキラが無関係なのは間違いない。こんな質問をいくらしたところで犯人への手がかりには繋がらない。 Iキラについて、警ら隊が掴んでいる情報は少ないと聞いた。もし本当にそうならこの事情聴取は彼らが藁にもすがる思いで行なっている捜査なのかもしれない。 「なるほどわかりました。情報提供ありがとうございます」 ホークスは前屈みにしていた姿勢を起こし、軽く腰を反らせてストレッチした。 「最後にひとつ。一昨日の夜、皆さんはどこにいましたか?」 一昨日の夜と言えば3人目の被害者が出た日か。 「その日の夜なら、俺は寮にいました」 「私も同じです。部屋はコタロー様と同室ですので、コタロー様が承認です」 「なるほどなるほど。アネ・ゴソッチオさん。あなたはどうですか?」 「……アーシはその日、実家に帰ってたよ」 答えるアネは不機嫌な表情をしていた。 そんな彼女にホークスは再び質問した。 「実家では何をされていましたか?」 「何も。やることもなかったから寝ていたよ」
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