血濡れの守り手②

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ホークスらが来てから1週間が経過した。Iキラは依然捕まることなく街のどこかに潜んでいる。ちなみに、この1週間の間にIキラによるものと思われる事件がまた1件起きていた。 そして学院ではホークスの事情聴取以降、いくつか変わったことがあった。 1つ目は放課後、学院内に残ることが禁止された。すべての部活動および委員会活動はIキラが捕まるまで休止。授業が終わり次第、生徒は速やかに寮に戻るよう指示があった。 2つ目は外出の制限。今までは制限などなかったが、Iキラが捕まっていない影響で生徒の外出は授業のない休日のみ。さらに日が暮れるまでに帰ってくることが条件になった。 3つ目は警ら隊の隊員が学院に派遣された。生徒の安全をより確かなものにするため学院長が要請したらしい。隊員は2人組で正門と裏門に配備され、他の隊員は学院の周囲を巡回していた。 学院の安全面はかなり強化されたと思う。しかし生活面で言えば、以前より窮屈になったと感じてしまう。仕方ないと言えばそうなのだが生徒の行動範囲はグッと絞られていて、学院と寮を往復するだけになっている。半数近い生徒はそんな生活にうんざりしているようだった。 この生活がいつまで続くのか。生徒の誰かがそう呟くのを時々耳にする。 きっとそう長くは続かない。数日のうちに終わりが来るはずだ。 「――様。コタロー様!」 俺を呼び声がして、我に返る。 声のした方を見ると、スライが俺をじっと見つめていた。 「授業、終わりましたよ。帰りましょう」 「え……。いつの間に?」 「終わったことも気付いてなかったのですね」 周りを見れば生徒のほとんどが教室からいなくなっていた。残っている生徒も身支度を済ませ、帰ろうとしていた。 俺の様子を見て、スライは呆れ気味に吐息を漏らす。 「また考え事ですか?」 「ああ、うん」 「最近、考え込むことが多いように見受けられます。何かお悩みですか?」 「いや……。悩んでるわけじゃないんだけど、ちょっとな」
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