血濡れの守り手②

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俺は両手を合わせて頼み込む。 スライはしばし口を閉じて考える。10秒ほどして、彼女はまた小さくため息を吐く。 「……わかりました。今日のところはコタロー様の意思を尊重しましょう」 「お、おおっ! ありがとうスライ様!」 「からかわれているように聞こえるので様づけで呼ばないでください。ここで力づくで寮に連れ帰っても、コタロー様のことです。きっと私の目を盗んで寮から抜け出して子供たちに会いに行くんでしょう」 よくおわかりで。これ以上食い下がるようだったらそうするつもりだったぞ。 「知らぬ間にいなくなられるくらいなら、私も共に孤児院に行いきます。そしてIキラの毒牙からコタロー様を護ってみせます!」 力強く語ってくれているところ申し訳ないが俺がIキラに襲われることはきっとないぞ。 「それに……アネ先輩のことも気になります」 「ああ。そうだな……」 それは俺も思っていた。 ホークスの事情聴取があったあの日から、アネは学院関係者の中にIキラがいないか捜査していた。 俺が聞いた限りの話だが、彼女は教員や生徒への聞き込みをしているらしい。スライにも確認したが風紀委員会のメンバーは何も聞かされていないらしく、どうもひとりで動いているようだ。 また聞き込みは学院だけでなく街でも行っているのだとか。おまけに最近はほとんど眠らずに何か調べ物をしているらしい。 噂なのでどこまで本当の話かは分からない。ただアネは日に日にやつれていた。それは遠目から見てもわかるほどで目の下のクマは前よりもくっきりと現れていて、頬も若干痩せこけていた。歩く姿も時折危なっかしい時がある。 事情聴取の後(もっと言えば保健室で会ったあの日)から、アネとは口をきいていない。どうにも気まずくて話せずにいる。 今日俺が孤児院に行くことはアネも知っている。しかしその話は事情聴取があった日よりも前にしたので、今日行っても大丈夫なのかの最終確認ができていない。 でもまあ何も言ってこないのだから行っても大丈夫なのだろう。もしも行ってから駄目だと言われたら帰ればいいだけだ。
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