血濡れの守り手②

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俺はスライを連れて学院を後にして、孤児院に向かおうと街に出た。 その道中、辺りを見ていて気のせい程度の違和感を感じた。 「なあスライ。俺の思い過ごしかもしれないけど街の人、いつもより少なくないか?」 今歩いている大通りは平日休日に関係なくいつも人でごった返していて、誰ともぶつからずに通り抜けることはまずできないような道なのだ。 それが今日は誰ともぶつからずに道を歩けている。パッと見歩いている人は多いのだが、いつもより少なく感じるのは俺の気のせいなのか。 「そうですね。この時間に街に赴くことがないので絶対とは言えませんが、少ないと思います。これもやはりIキラの影響でしょう。先日起きた事件は人通りの多い繁華街で起きてますから、皆さん外出を控えているのだと思いますよ」 そういうことか。まあ気持ちは分かる。Iキラは無差別に人を襲う通り魔ということで、街の人に浸透している。自分が狙われるかもと考えたら気軽に外に出歩くなんてできないだろう。 「早く捕まるといいですね」 「……そうだな」 それから適当な話をしているうちに孤児院に到着した。中に入って挨拶すると子供たちが玄関に集まってきて笑顔で迎えてくれた。 「アクニン! こんにちは!」 「はい、こんにちは」 「あーっ! アクニンまた女の人をムリヤリ連れまわしてるー!」 「人聞きが悪いぞー。前にも言ったけど、このおねーちゃんは望んで俺についてきてるんだぞー」 「アクニン。今日も怖い顔してるね! アハハ!」 「んー。怖い顔をしてるつもりはないんだけどナー。普通にしてるつもりなんだけどナー」 「じゃあじゃあ。笑ってみてよ」 「……(にこっ)」 「「こわーい! キャハハハハ!!」」 人の笑顔を見て腹抱えて笑ってくれやがる。 あとアクニンアクニンって、連呼しないでもらえます? あだ名みたいになってるけど、認めてないから。普通に傷つくからッ! おかげでオジさんのガラスのハートはもう崩壊寸前よ!
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