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「自分の手で……!? それはあまりに無茶だ。捕まえるなんて、できっこない」
「私もそう思うよ。だからあの子は私が何を聞いても答えないんだ。止められるとわかっているから、誰にも何も言わずにひとりでどうにかしようとするんだ」
「………」
「じっとしていられないんだよ。私たちの不安に気付いてしまうと、自分にできることはないか。何かあるんじゃないかって考えて、行動を起こしてしまう。私じゃあの子……アネを止められない」
リーバーはそこまで言うと、俺とスライに視線を合わせる。
「今からいうのは私のわがままだ。聞き流してくれても構わない。……もしもアネが無茶して馬鹿なことをしようとしたら、あの子を止めてほしい。あの子が責任の重圧に押し潰されそうになったら、支えてやってくれ」
リーバが頭を下げる。その姿を見て、俺の胸の辺りがぐらついたのを感じた。
「勿論です! 先輩は私たちにとっても大切な方ですから、何かあれば力になります! ねっ、コタロー様?」
俺は少し考えてから返答する。
「……シスター。俺も先輩に何かあれば力になろうと思ってます。だけど、きっと俺たちじゃ大した力にはなれません」
「そんなことない。私よりお2人の方がずっと頼れる。主もきっとそう思ってるはずさ」
「聞いてください。アネ先輩が通り魔を捕まえようとしているのは他でもないあなたや、子供たちの為です。あなたたちが大切な家族だから、先輩は頑張っているんですよ」
シスターがシスターでなかったら、きっとアネはIキラを捕まえるなんて無茶はしない。
子供たちに対してなんとも思っていないなら、ここに帰ってくることもなかったはずだ。
アネにとってこの場所は特別。どれもが大事。何も欠けてほしくない。だから守ろうとしてる。
だから――
「だからシスター。本気で先輩を止めたいならあなたが言うべきだ。あの人のことをよくわかってる、家族であるあなたがもういいって。そこまでしてくれなくていいって。これ以上アネ先輩が傷つくかどうかは、シスター次第ですよ」
リーバは何も答えなかった。ただにっこりと俺に微笑みかけるだけだった。
いつもと同じように、太陽は動く。
巨大な光源はゆっくりと沈み、引き換えに街は薄暗い闇に引きずり込まれる。
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