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どうしてあんなことをしてしまったのか、自分でしたことに理解できていなかった。すべて夢であってほしかった。すべて忘れてしまいたかった。
歩くこと数分。少女は目的地の前にたどり着いた。
その家の前では自分が最も慕っている者が傘をさして待っていた。
「アネ。どうしたんだい? ずぶ濡れじゃないか」
「シスター……」
少女――アネはシスターリーバの顔を見た直後、その場に崩れ落ちた。
そこで感情が崩壊した。我慢していた思いが決壊した。
大粒の涙が瞳からこぼれ落ちる。声にならない叫びがアネの口から漏れ出る。
「アーシ、アーシはなんで……」
言葉が出てこない。何を伝えていいのかわからない。
ただただ胸の底から湧き上がる恐怖に、体を抱いて耐えるしかなかった。
リーバは座り込むアネに近づき、傘の半分を彼女の上に被せる。
「そうか……辛いのかい……」
言ってリーバは、アネの濡れた体を優しく抱き締める。
「大丈夫。大丈夫たよ。私がいる。主も守ってくれるよ」
心にのしかかる負荷を少しでも減らそうとしているかのように、アネはリーバの胸の中で泣き続けた。
―――――――
目を覚ました時、俺はどこかの屋内にいた。
10畳ほどの部屋。壁も床もすべてが白で統一された部屋のベッドの上に、俺はいた。
横になっていた体を起き上がらせて、周りの状況を確認してから自分の体を見る。
自前の服を着ていたはずなのに浴衣に似た上下の合わさった白い衣装に変わっていた。その衣装に包まれる俺の体は胴体部分が包帯でぐるぐる巻きにされていた。
ここがどこか、おおよそ察しがついた。
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