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「ビビル。やりたくないならやらなくていい。俺がやろうとしているのは、ただの悪いこと。だから強制はしない。今聴いたことを忘れてくれるなら話から降りてくれて構わない」
さっき言ってたようにバレれば退学ということもありえる。俺は成り行きで通っているだけだから辞めても後悔しないけど、ビビルとモグロは違う。やりたいことや将来の目標があるはずだ。俺の愚行に付き合ったせいですべてが不意になるということも十分ありえる。
ビビルは両手で頭を抱えて悩んでいた。しばらくしてから彼は頭を掴んでいた手を下ろし、俺に言った。
「……ぼ、僕も、やります」
「本当にいいのか?」
「はい。編入試験の時に助けてもらったので、そのお礼をここでさせてください」
お礼されるようなことはひとつもないんだけど。それにお礼でこんな馬鹿なことにつきあってくれるとか、ごめんなさいとしか言いようがない。
「それに覗きっていうのは建前で、何かのっぴきならない事情があるんでしょう?」
いえ、建前ではなくただの覗きです。ただ悪さをしようとしているだけです。
ああもうビビルの曇りのない純真な眼差しがグサグサと心に刺さる。俺は私利私欲にまみれた最低野郎なんですごめんなさい!
「んで? いつやるんだ?」
モグロの疑問に、俺は即答する。
「今日」
「今日!? また急だなオイ……。作戦はあるのか?」
「ああ勿論」
俺は2人に作戦を伝える。
決行の時刻はすぐそこまで迫っていた。
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