第1章 密室

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「さっき拓也から電話があって先に行って練習してるって」 「ああ、そう」 葉山優一は横にいる奈々を見つめた。拓也をちょっと羨やんだ。白い張りのある肌に吸い込まれそうな瞳、ショートカットに潤いのある唇、肉感的なバストは服の膨らみからDカップ以上とにらんでいる。身長は150センチちょいとこれまたちょうど良かった。肩を抱いたと妄想すると165センチの葉山の手がちょうどいい位置にくる。 密かに恋心を抱いているボーカルの奈々はやたらとベース担当の拓也と仲が良いように見える。いや実際はわからない。いつも二人で話しているときはバンドの練習曲の話ばっかりだ。つっこんだ話はとても怖くて聞けなかった。 葉山はギター担当の4人組で大学の軽音部に所属している。 ドラムの日下部は30分ほど遅れると葉山に連絡があった。 今日は新曲の初めての音合わせの日だった。
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