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奈々が部室に入り防音スタジオの前で立ち止まる。
様子がおかしい。
ドアノブをガチャガチャと上下に動かしている。
「ドアが開かない」
「内側から拓也がロックしてるんじゃない?」
すぐ後ろにいた葉山は当然のよう声を掛けた。通常、バンドなどをやるスタジオは完全防音のためにグレモンハンドルを使用しており内側からロックされると外からは解除が出来ない。
「拓也が倒れてる!」
防音ガラスの小窓から奈々が中の様子を覗き叫び声をあげた。
「えっ?」
奈々の頭ごしに見ると確かにヘッドホンをした拓也が床に這いつくばっているように見えた。
「優一、誰か呼んできて!」
奈々が叫んだ。
夢中で駆け出した。
部室の管理をしている管理室へと向かう。担当の先生ならあのドアを開ける方法を知ってるかもしれない。
管理の山下先生と高野部長を呼んで来て戻って来た。
奈々がドアの前で待ちぼうけしていた。日下部はまだ来ていなかった。
「先生、早く早く!このドア開けて下さい」
「待ってろ、今すぐ開ける。非常解放用のカギを持ってきた」
山下が把手の真ん中に棒のような物を差し込んだ。
よく見ると取手の真ん中にくぼみがあった。
一見、そのような形状のドアノブに見えるが実は非常解放用の機能も持ち合わせているらしかった。
確かにそうでもなければ今回のような事態なったときお手上げになってしまう。
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